船の出航予定は午後5時。
今日のミッションは早めに船に行って住居を確保することだ。
このスタンス、仕事でもなんでも「時間ぴったし」もしくは「気持ち遅れる」という習性の俺からすればかなり成長したと言っていいだろう。
是非褒めてもらいたい。
昼飯をさっさと平らげて港に向かう。
午後1時に到着。港っつっても看板とか何もありません
そして乗り込むのはこいつ、ヘンリー3号である。
左側の船ね
船内で受付っぽいことをしていたのはエドウィン・チーノ(中国人という意味)という非常に覚えやすい名前の青年。
フレンドリーにいろいろと話しかけてくる乗組員だ。
そして彼からチケットをもらい乗船。
まだ乗客はまばらでそれなりに居住エリアを選べそうだ。
すぐさまハンモックを設置である。
一番手前のグチャグチャしたやつが私のハンモック。寝食を共にする相棒だ
後部にあるトイレ(上部にシャワー付)たち
トイレには川の水を使用。シャワーの水も同様ですべてが茶色で何がなんだかわかりません
船は出航時間になっても動く気配はない。
ポロポロと追加の乗客がやってきて、船内はどんどんギュウギュウになっていく。
どこもかしこもハンモックだらけ
お隣さんは大家族のおばあちゃん。近い…
そして子供たちも。基本的に騒いでいます
外ではまだ荷積みをやっています。この船の主役は人ではなく貨物
そして停泊したまま食事。
持参したタッパーに入れてもらうことになる。
乗っている間はそれを茶色い水で洗ってずっと使うことになるのだ。
食事の配給に並ぶ人々。囚人みたい
配給された食事を持って船上のデッキに上がってみる。
配られた食事。米に鳥の足が乗ってるだけだがなかなか美味い
そこには船長室の上に図々しく登ってのんびり食事している白人が。
彼の名前はジル、フランス人でとても良いやつだ。
スペイン語もペラペラで、彼に言わせると「ラテン語なのでフランス語もスペイン語も同じ」だという。
へー、そんなもんなんですか。
そして英語も達者。
彼なら、正解中どこでも不自由なく旅できることだろう。
羨ましいなー
自由奔放なジル
そして停泊したまま夜9時、乗組員のエドウィン君が近くを通り話しかけてきた。
「出航は明日の午後3時になったぞ」
…
「午前でしょう?」
「いや、午後だ」
…
それじゃー、ほぼ丸1日遅れではないか。
南米人は適当なところがあるので、実は午前3時の間違いな気もする。
さすがにそこまでの遅延はなかろう。
夜10時を過ぎるとガキンチョ達も寝て、船内もかなり静かになる。
ということで私も寝ることにする。
ただ、私のハンモックの真下でガキンチョ3人とお母さんが寝ているのがものすごく気になる。
紐が外れて落ちたりでもしたら大変なことになる。
1人くらい圧死させてしまうかもしれない。
ハンモックの結び目を再度確認して就寝。
翌朝。
万国共通の鶏の鳴く声と元気なガキンチョ達の騒ぎ声で目が覚める。
外はまだ暗いが船は停泊したままのようだ。
むむ、出航はやはり午後の3時か…
茶色い水で顔を洗い歯を磨く。
茶色の水が出る洗面台。3つのみ
6時、ガンガンガンと鉄柵を叩く音で朝食タイム。
チキン入りのおかゆ。スパイスが効いてこれもなかなかうまい
上部デッキで今度はイタリア人の女性旅行者と遭遇。
ナタリーと言うらしい。
女性ひとりでよくまぁこんな船乗るわ。白人ってそういうとこあるよね
結局、この船には自分も含めて5人の外国人がいたのだが、完全に少数派なので旅行者という共通点だけで顔を合わせるとなんとなく会話する仲になった。
更に昼飯。
基本こんなメシが永遠と続くのでもう載せません
暇を持て余し鶏の鳴き声が聞こえた船室下の階を見に行ってみる。
食材がたくさんいますねー
そして横っちょにはうるさく吠える犬が
なぜ犬がいるのかジルに聞いてみると、首を掻き切るジェスチャーをしてニヤッと笑い「食べる為に決まってるだろう」と。
…んなわけねーだろ!
結局船は午後4時、予定から23時間遅れ、私が乗船してからは27時間経過してやっと出航した。
船はのんびりのんびりとアマゾン川を進む。
途中下車する人
食材搬入の為に小型ボートで近づいてくる人
船も無事に出航し、この日もハンモックで爆睡。
夜、大勢の人々がいるなかハンモックで寝るのは鬱陶しくもなかなか楽しいものである。
そして翌日、体に異変が!
なんと歯茎が腫れてきたのである。
実は多少の心あたりがなくもない。
出発直前に銀歯が取れてしまい、歯医者に行ったところ「少し虫歯がありますね。治療しましょう」と言われていたのだが、無理を言ってそのまま銀歯をくっつけて旅行に出発したのであった。
その歯に近いところの歯茎が…
うむむ、ここは船上。
歯医者なんているわけなければ、どんなに痛くても途中下船してあるのはジャングルだけだ。
到着まではあと3日はかかる…
さて、どうなるこの船旅そして無職旅。