東京で桜の開花宣言がなされた先週末の昼時、私は上野駅にいた。
仲良くして頂いている知り合い3人と一緒に、総勢4人で旅行に向かう為である。
行き先は熱海。
我々は皆、別会社ながら流通とくにスーパーに関わる仕事をやってきている。
何事も仕事から離れられない生真面目な我々は、スーパーと言えば温泉、温泉と言えば熱海ということで「スーパー!スーパー!」と鼻息荒く熱海を旅行先に選んだというわけでありますです。
仕事中毒とはまさにこのこと。
移動に選んだのは新幹線でも特急踊り子でもなく東海道線である。
理由は「ゆっくり飲みたいから」
待ち合わせはグリーン車で、私以外は既に乗っている段取りなので1人で上野から電車に乗り込む。
3人を見つけて一緒にボックス席に座り素早くあたりを見渡すと、視界に見えているだけでビールの500ミリ缶が10数本。
それ以外に日本酒も用意されているはずだ。
すでに2本目といったところか...
私も1本を手に取り乾杯。
乗車してから2時間、熱海駅に到着する頃には我々は焼き鳥片手にビールを全て空にしたうえで、獺祭まで飲んで気持ちよく酒盛りをしている集団と化していた。
時刻は午後2時半。
いかん。
これはいかん。
以前の旅行の時にはあちこちで記憶がぶっ飛び、最終的には居酒屋の便所スリッパで家に帰ってしまったではないか。
猛省したはずではないか!
宿にチェックインをし、自販機で買ったビールで改めて乾杯。
そしてまだ比較的しっかりしているうちに露天風呂へ。
遠くに初島などが見えて大変気持ちがよい。
風呂から出たら、午後5時半からの早めの晩飯である。
この晩飯、バイキングでの食べ放題と飲み放題が付いているなかなかお得なコース。
蟹やらなんやら適当なものを持ってきて日本酒で改めて乾杯。
飲み放題だからとみんな激しく日本酒を空けていく。
2時間後、時間がきて食堂から追い出されて部屋へ。
敷かれた布団に倒れ込む。
ふう、かなり酒も回っていて良い気持ちだ。
眠気もなかなかだがしかし仕事を忘れるわけにはいかない。
そろそろスーパーを...
「外に飲みに行こう」
1人が言う。
む...
まあもう少し飲んでからでもよいか。
多少ふらつきながら熱海の夜の町へ。
目についた店に入る。
店員の話なども面白く、焼酎をグイグイ飲んでしまう。
店を出て2件目へ。
場末感がなかなか素敵な店で、引き続き焼酎を飲み続ける。
そして3件目。
カラオケスナックで他の客と仲良くなったこともあり、焼酎を飲んでみんなで盛り上がる。
宿へ戻り、敷かれた布団に倒れ込む。
飲んだ。本気で飲んだ。
いま、夜中の何時だ?
激眠...
しかし仕事...
スーパー...
「もう1件行こうぜ」
1人が言う。
この衝撃的な一言で何かのスイッチが完全に切れて気絶。
翌朝
物音で目が覚める。
アルコール漬けとなった重いアタマを上げて見てみると、既に500ミリ缶のビールを飲み始めている。
...
付き合ってられません。
アル中ですか?
財布から小銭を出して自販機へ。
「ガタン」
俺はチューハイにしとくよ。
朝飯を食いそびれた我々はチェックアウトして駅前の繁華街に。
二日酔いだが腹は減ってきており、うまい干物で昼飯でも食おうと店を物色する。
「ここで良いんじゃない? 飲み放題もあるし」
一人が言う。
飲み放題...
そして入った店は笑笑。
干物なんぞなく、適当なツマミで酒を飲む。
夜の飲み放題のペースとなんら変わらない。
時間になり店を出る。
そろそろ電車で帰る時間である。
よく眠れそうだ。
「酒とツマミ買わなきゃな」
一人が言う。
...
ビールとワイン、そしてツマミを買い込んで電車に乗り込む。
酒宴
朝から酒しか飲んでなく、さすがにヘロヘロである。
さすがに飲み過ぎだな、と思う。
帰ったらよく眠れるだろうな、と思う。
「反省会は上野でいいよな?」
一人が言う。
...
...
何の?
上野の居酒屋へ。
そして半分落ちながらもしかし酒だけはしつこく飲み続ける。
世の中から酒を一掃しなければならない使命感にかられたように。
今生の別れを惜しむ友と飲む最後の酒のように。
「次はやっぱ山梨方面だな」
一人が言う。
以上のように、スーパーはありませんが我々はたまにこのようなワビサビに満ちた大変有意義な観光旅行をしております。
ご興味ある方はご一報を