無駄に長い船旅の末、歯茎は腫れてしまったがとりあえず無事にジャングルの都市イキトスに到着。
まずは中心街に行って宿を確保せねばならない。
こんな船着き場から
3輪タクシーで繁華街へ
宿を探して歩いていると怒涛のようにツアーの客引きがやってくる。
「Hola! tomodachi(友達)!」
「Hola! tomodachi(友達)! ツアーか? とりあえずオフィスに来い」
「アミーゴ」を直訳すると「友達」となるのでここの人間たちはそう声をかけてくるのだが、初対面にも関わらず「友達」と連呼されるのはいささか違和感がある。
この客引きの感じ、ウザさ120%のインドと共通するものが…
しかしさすがは観光地、彼らは英語ペラペラなので意思疎通はしやすい。
「まず宿探しだ」と言うと宿の紹介もしてくる。
紹介された宿は断り、私が「このホテルが良い」と指定すると、なぜか客引きがフロントと価格交渉を始める。
ホテルが決まると親指を立てて「良かったな、宿が決まって」と言いどっかに行ってしまった。
…
インドだとここで「金よこせ」とか「では俺の紹介する旅行会社に来い」とか絶対言ってくるはずなのにまるでそんなことをしてこない。
うーむ。インドとは全く違う。
一瞬でもインドと比べてしまってイキトスに心から謝罪したい。
部屋に案内されると船とのギャップがものすごくて気絶しそうになる。
ベッドがありアメニティがありプライバシーがあり虫もいなく床にハエもたかってなく暖かいお湯が出て、しかもその水が透明である。
喜びで涎を垂らしながらシャワーを浴び、付きに付きまくった汚れを落として久々のベッドの感触をしばし堪能する。
さて、歯茎の腫れは相変わらずだ。
これからどうするか…
ネットで調べてみるとどうやらリマには日系人がやっている何とか行けそうな歯医者があるようだが。
行くしかないか??
…
いや、それしか選択肢はない!
本来ここからコロンビアのレティシアという町へ更に船で移動する予定だったのだが、
リマに戻ると決めた以上それも断念。
そうと決まればあとは予約だが…
電話してスペイン語で予約とか絶対無理です!!
メール送って申し込むしかないかなぁ、めんどくせーなぁとか考えつつ宿の外に出て一服。
そして戻った際、フロントのアンバーという女性と雑談になったのだが実に感じが良い。
(ちなみに美人でもある)
…これは💡
無理を承知でアポイントを入れてもらえないかお願いしてみると快くOK。
やったぜ!
私の女神ことアンバーは、自分の携帯でリマの歯医者に電話してくれ、私の希望を聞いたうえでアポイントを入れてくれた。
いやー、本当にありがたい。
(彼女には後ほどお礼にプリングルス1缶を差し上げました)
歯医者の予約は5日後である。
とにかく航空券の手配だ!
(ここでヘンリー号で戻れば勇者だが、俺はそこまで物好きではない)
というわけでサクッとネットで3日後の航空券を入手。
そしてレティシアに行けないと決まった以上、ジャングルツアーに行くのはここイキトスでだ。
中心地に行ってみるといろいろな客引きが声をかけてくる。
その中には先ほどホテルの価格交渉をしてくれたおっさんも。
よし、あんたに任せるよ。
おっさんに連れて行かれた旅行会社がなかなか味がある。
ネックレスをジャラジャラ付けてワイシャツのボタンを開けまくったうさん臭さたっぷりのマネージャーらしき兄ちゃんが「いいかい友達。うちのツアーなら本物のジャングルを味合わせてやる。本物のだ!」とパンチのあるプレゼン。
どこの旅行会社でも同じような内容らしいが、このうさん臭さも気に入りそれなりに値切って予約。
ともあれめでたく当面のスケジュールは固まった。
メシだ。
珍しくこんな店でハンバーガーとビール
中心地の公園。夜でもカップルや家族連れがいてほのぼの
明日は早いので、ホテルでもう少しだけ飲んで早めに寝ることにする。
ホテル横の商店でウイスキーの小瓶を買おうとすると、その商店(小さなテーブルが2つある)で一人で瓶ビールを飲んでいた兄ちゃんが「そのウイスキーか? それは7ソル(250円)だ。そうだよな、セニョリータ?」と親切にも買い物を助けてくれる。
ありがとう…値段書いてあるけどね。
そして、ビールを差し出し「一杯飲むか?」と誘ってくる。
ご馳走になるのも気が引けたので私も自分でビールを買って何故か一緒に飲むことに。
こいつの名前はルシオ。
妙に明るくて面白いやつである。
彼はスペイン語全開なのでお互い会話は通じてないはずだがそれなりに盛り上がる。
聞けば今日が彼の29歳の誕生日というではないか。
そして、商店を出てホテルに戻ろうとすると「あと30分だけ付き合ってよ。行きつけの店に行こう!」と誘ってくる。
まあ10時だし少しだけ付き合うか。
その店は泊まっているホテルのすぐ近くにあり、それなりに私好みではある。
ルシオ。こいつ誕生日によく初対面の外人と飲む気になるよなー
飲み屋(って言っていいのか?)。酒だけ飲んでいるという場末感がサイコーです
このルシオ、簡単に言うとアホである。
彼女とベッドで裸になっている写真を見せてきて「彼女太ってるだろう?」とか、とにかくメチャクチャ楽しそうにくだらない話をしてくる。
店の外には警官が何人も店を監視しているのだが、「ペルーの警官は最低だ。あいつら弱いものイジメして楽しんでるんだよ」とかきわどい話も大声でする。
いやルシオ、丸聞こえだよ。こっち見てるし。
店にいるルシオの飲み仲間なんかとも仲良くなりかなり楽しい。
そんな中、ルシオの携帯が鳴り出す。
どうやら太った彼女かららしい。
何かルシオが説明していると、どうも電話を切られてしまったようだ。
ヤバそうな顔して「外で電話してきていいか?」と言うので全く問題ないと伝える。
戻ってきてもモメてしまったらしく浮かない顔。
そしてまた彼女から電話がかかってきた時、なんとこいつは電話を私に渡して「お前話してくれ」と。
…馬鹿かお前!?
何時間も一緒にいるんだから俺がスペイン語話せないことぐらいわかるだろう!
しかし強引に携帯を渡してくるので「オラ。おっちゃんと言います」と言ってみたところ予想通りスペイン語で怒涛のようにまくしたてられる(ように感じる)。
だからまるで分かりませんってば(´;ω;`)
何も答えられずにいると
プチッ!
ごめんルシオ、切られちゃったよ。
ルシオは「気にするな」と言い、気分を入れ替えたのかまた元のように楽しく飲みだす。
するとまた電話が。
ルシオが1、2分話をして電話を切ると「彼女これからここに来るってさ」と言うではないか。
ちょい待て、もう夜中の12時過ぎてるぞ!
俺は明朝ジャングルツアーに行かなきゃならんのに。
「10分で来るらしいから!」
と言って帰してくれないルシオ。
むぅぅ、あと少しだけ付き合うか…
そして30分経過しても1時間経過しても彼女は現れず。
その間、ルシオは何回も彼女に電話して「いつ来るんだ?」と聞いているようだがどうも「すぐ行くから」という回答のようだ。
そして2時半になっても彼女は現れないが俺的にはさすがに限界。
だがルシオはまだ引き留めてくる。
日本で同じ会社だった同僚諸君、この場を借りてお詫び申し上げたい。
俺、君たちに全くおんなじことしていたんだね。
ゴルフ前日に暴飲させて大変なことになっちゃったよね。
風邪ひいてるのに「飲みゃ治る」って強引に飲ませて翌日完全に死亡させちゃったよね。
ごめんね。
悪いルシオ、心苦しいけどこれ以上飲むと明日のツアーをすっぽかす自信がある。
ルシオは彼女を待つ為に店に残ったが、心を鬼にしてホテルへ戻る。
ホテルの入り口は当然頑丈なシャッターで閉ざされており、ガンガン叩いてスタッフを叩き起こして中に入れてもらう。
かなり飲んだし明日(つーか数時間後)起きれるかしら…